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2010年10月 8日 (金)

「一週間de資本論」&ジャック・アタリ

NHK「一週間de資本論」のオープニングがジャック・アタリでした。フランスの経済学者として紹介され「Jacques Attali 『Karl Marx』」の著作の映像とともに彼のコメントから番組はスタートします。(『Karl Marx』は伝記?)(*再放送はいつだろう…)


  マルクスの考えが今ほど的確である時はない

  マルクスを読まなければ21世紀は理解できない


アタリは左翼ミッテラン政権の大統領顧問を務め、右翼サルコジ政権でもアタリ委員会を主宰。ミッテラン時代からEU統合のイデオローグとして活躍し欧州復興銀行総裁などを歴任。現在はプラネットファイナンスの代表としてマイクロファイナンスソーシャル活動の立役者。資本主義分析ではすべてを情報に換算し、その<交通>から社会を考察するなど先駆的なマルキストでフランス最高の知性ともいわています。

最終回にもジャック・アタリが登場します。今度は「フランスの思想家」と紹介され、仏語版の『21世紀の歴史――未来の人類から見た世界』をもったインタビュアーにアタリが答える映像で、彼は問題の提起と解決への希望を示していています。


 ― あなたは著書の中で将来破局が訪れると述べていますね?

 破局を避けるのも突き進むのも私たち次第です。
 どんなに困難でも今から回避する方法はあります。
 そのためには世界の市場を正しいバランスに保たなければなりません。
 市場のグローバル化とともに
 民主主義政治もグローバル化しなければならないのです。

 ― 資本主義は生き残ることができますか?

 秩序がなければ資本主義は崩壊してしまいます。
 資本主義がグローバル化したとき世界政府がなければ生き残ることはできません。
 現在の資本主義は不平等を増しています。
 誰もそれを改善していないのです。

           
21世紀の歴史――未来の人類から見た世界

翻訳:林 昌宏
参考価格:¥2,520
価格:¥2,520

   

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一週間 de 資本論

著:的場 昭弘
参考価格:¥1,050
価格:¥1,050

   

番組「一週間de資本論」は「通称マルクスオタク」と自称する的場昭弘さんをメインコメンテーターに毎回ゲストを迎えて討論。全4回シリーズとしてマルクスの『資本論』の現代の資本主義への認識が的確であるかどうかを巡って議論されていきます。的場さんの著書「超訳『資本論』」にも資本主義が国家を超える独占を形成しつつあグローバル化にこそ解決の契機を見出そうとするスタンスがあり、アタリとの根本的な共通項になっているようです。もともと『資本論』は経済学への批判であり副題は「経済学批判」です。その意味するところは深く大きいといえそうです。


  第1回「資本の誕生」
     ゲスト 森永卓郎 (経済アナリスト・獨協大学教授)

  第2回「労働力という商品」
     ゲスト 湯浅誠 (NPO 法人自立生活サポートセンター・もやい 事務局次長)

  第3回「恐慌のメカニズム」
     ゲスト 浜矩子 (同志社大学大学院教授)

  第4回「歴史から未来を読み解く」
     ゲスト 田中直毅 (国際公共政策研究センター理事長)

           
超訳『資本論』 (祥伝社新書 111)

著:的場 昭弘
参考価格:¥882
価格:¥882

   

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 アタリは今回の金融危機をめぐりグローバルマネーへの規制を主張していますが、この点ではドイツの代表的な論者やアメリカのガルブレイスからは批判もされています。市場を規制してはならないということです。合成の誤謬という面から考えても、市場は関連する他の市場や無数の共同性(体)との間でコーディネーションの失敗を産出する契機ですが、それは市場そのもののせいではありません。市場や共同体の参加者、構成員の自律的責任に帰する問題が市場で露呈するにすぎないからです。この意味ではサンデルのように「正義」を語る意味はあるでしょう。

 サンデルの「白熱教室」を「機能主義!」と切って捨てた人がいますが、それはそのとおりで、だからこそ議論し続ける必要があることも確かでしょう。欧米哲学やあらゆる論理は単に機能(主義)にすぎませんが、ツールやギアはそうやって使われることに価値があり、そういう思想や理念があることも確かです。それを上手に使いこなすことこそ人間が目指すことでしょう。(使われちゃうと悲劇ですが)

 立場を超えて納得できるマルクスの言葉に“人間は解決できる問題しか提起しない…”というものがありますが、この楽観性はマルクスをよく読んでいるグローバリストやネオコン、ネオリベの人たちからこそ感じることがあります。最近ではジジェクのような共産主義のエバンゲリスト?もポストモダンの共産主義――はじめは悲劇として、二度めは笑劇として』ゲバラのような楽観主義を語っていたりして元気ですね。

           
ポストモダンの共産主義 はじめは悲劇として、二度めは笑劇として (ちくま新書)

翻訳:栗原 百代
参考価格:¥945
価格:¥945

   

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