ロシアのソフトパワー?
先週の経済ニュースで驚いたのがロシアのデフォルト(の可能性)。ロシアが40~50兆円くらいのソブリンデフォルトかも、という話をニュースでみました。
今回もロシアはソフトパワーでクリアするのか、などと考えてみました。といってもアメリカ的なソフトパワーではなくて、どちらかというとロシア正教的なある種プリミティヴ?なパワーです。中沢新一的にはグノーシスなやつ。
池田blogの「アメリカ後の世界」で、今後のアメリカの世界への影響力として「アメリカのソフトパワー」が指摘されてます。今回の金融危機から〝アメリカとドルの終わりの始まり〟が経済ニュースなどでもいわれてきましたが、こういうソフトパワーはある意味で経済より強力に国家や文化や主義主張を支えることがあり、そういった方面への探究も面白そうです。
91年のソ連崩壊でGDPが連邦時代の半分まで下がり、滅茶苦茶になった社会と経済を無事?にやり過ごしたのが、ロシアの一見不思議?なソフトパワーでした。それは割と自発的あるいは創発的なものです。
ロシアの市場化(資本主義化)はソ連邦末期にモスクワに設立された共産党改革派などが準備した2000社ほどの企業をタネにはじまりますが、そこでもロシア的なものグノーシスなものは活きていたようです。自ら連邦共産党の解散を命じたゴルバチョフ書記長は立派でしたが、市民の中や個別のロシア人(あるいはソ連人)のなかに活きていたロシア的なるものは予想外の働きをしていくことになります。
ロシアのプリミティヴなソフトパワー?
それは<贈与>と<物々交換>です。
ソ連邦崩壊後のTVのドキュメントで見たのは沿道に自動車のタイヤを持った人たちが並んでいる姿でした。企業(崩壊した連邦経営の企業が多い)が給料を払ってくれないので会社の資産の一部を売っているのです。企業サイドも積極的に物品の現物支給をして給料の代わりにしたようです。ピーク時には企業の7割がこの現物支給でしのいだとか。物品を持って配給所に行ったり買い物に行ったりするワケですが、そこでの支払いが当然<物々交換>であり、資本主義に慣れないで混乱した時期に<物々交換>経済で1年ほどはロシア社会が営まれていたというのは不思議な感じがします。こちらから考えるとリアリティがないですが、現実は小説よりも奇なりな現実が旧超大国を救ったという事実は大きいと思います。
もう一つは<贈与>。ノブレス・オブリージュともいえるもので新興財閥や起業家が相当量の資金や物資を拠出したこと。これで98年の財政危機を乗り切りました。
今回の危機ではどんなソフトパワーあるいは経済以外のパワーで乗り切るんでしょうか。
サハリン2の乗っ取りじみたやり方も法治国家?や契約社会からは理解しがたいですが、法外なあるいは超法規的な何かがロシアにあるのは確かですね。日本では個人の内面にまで法規的なものが入り込んでいるせいか法外なソフトパワーや動きはないようで、そのかわりコンスタントな個人のターミネイトというか自殺者が1日で100人もいるのかもしれません。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント