GMが生んだサブプライム破たん
NHKスペシャル「アメリカ発世界自動車危機」(2009年2月2日放送)ではGMの子会社GMACがサブプライムローンを作ったことが明かされてました。売れないGMの自動車販売をカバーするために考え出されたビジネスモデルがクレジットを使った自動車販売の金融商品。それを不動産にそのまま適用したのがサブプライムローンだったとは。
GMACは販売会社に厳命します。5項目以外は尋ねていはいけない…。
契約書類にあるのは以下の5項目だけ。
氏名、住所、年令、社会登録番号、勤務先の名称
なんと収入は尋ねてはいけないことになってる…
GMは自社の自動車が売れなくなってからも平気でいたワケです。なぜなら自動車リースを始めたから。新車を中古になった時の下取り価格を差し引いてリースする。500万円の新車を中古価格200万円分を差し引いて300万円でリースし、そのローンを証券化し金融商品にしてウオール街で売る…。GMの営業子会社GMACが新しいビジネスモデルとして考え出したのがコレ。日本でもこういったカーリースが伸びるだろうということを大手のクレジット会社で聞いたことがありますが、日本の場合はリース期間が長いと5年くらいありGMACの2年で新車と借り換えさえるのとはズイブン違います。この違いがバブルとその崩壊の分水嶺なんでしょう。
簡単に考えてもGMACのリースには2重のリスクがあります。元来支払い能力がない人にもクルマをリース販売できてしまうし、2年で新車と取り換えるために中古車が増えてしまい結果新車販売のキャパが狭まっていく危険性があるということ。
このビジネスモデルを考えた当事者はその後解雇され、彼はいまサブプライムローンの救済NPOで働いています。
そしていまやローンやリース代を払えなくなった客から自動車を取り返す商売が急成長。夜中に客の家に行って自動車の鍵を開けレッカーでもってくる商売で、自動車販売会社はその車を中古で売り換金するワケです。これも支払い能力がない客に無理に売った結果でしょう。
ビジネスモデルの考案者もディーラーの店長も悪びれずに語っていました。
〝われわれは最初から自分たちを騙していたんだよ〟と…。
自動車産業のBIG3の労働者の平均像は…
時給3000円
保険の自己負担が7%
(アメリカのある自動車企業は従業員の医療費だけで
日産の売上くらいあるとまでいわれた。)
アメリカには珍しい〝アメリカ共産党〟さえ存在する自動車産業とデトロイト。そのアメリカの終わりの始まりとまでいわれた今回の危機はこんなところから始まっていました。たしかに何でも証券化してしまいレバレッジで幾何的に増幅されたボラティリティゆえにバブルにも破たんにもなるんでしょう。
根本にはどんな問題があるんだろう。
〝人間は解決できる問題しか起こさない〟というK,Marxの言葉がちょっとありがたかったりするかも…。
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池田信夫blogの「金融危機の引き金はリーマン倒産ではない」に今回の金融危機の真相についてのコメントがあります。〝問題は流動性ではなく支払い能力〟という池田さんの指摘はジョージソロスとも共通するもので説得力があります。
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