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2016年6月

2016年6月17日 (金)

心的現象としての言語 規範として

規範としての言語という側面から、灰皿とはなにかをかんがえれば、
ここでは<灰皿>=記号的灰皿であり<灰皿>という共通性は、
どんな具体的な灰皿とも無関係に成立する記号でしかない。

そこでは灰皿という受容の空間化度は
ある位相(論理系の位相)にあるのっぺらぼうな単一な面に拡がっている。
…このばあい<灰皿>という共通性は<関係>意識にかかわってくる。

(『心的現象論序説』【Ⅴ心的現象としての発語および失語】P154)


☆規範としての言語というのは、コミュニケーションとしての言語の前提。共通の規範による言語がなければコミュニケーションが成立しません。翻訳とは共通の規範に置き換えることです。「ある位相(論理系の位相)にあるのっぺらぼうな単一な面」というのはシニフィアンの領域のことであり、リアルなそれそのものあるいはレファランではありません。そのために「具体的な灰皿とも無関係に成立する」わけです。一方<灰皿>という共通性は<関係>意識にかかわってくる」というのは、共同性への前提にもなるもので人間の認識の最重要なものです。

2016年6月15日 (水)

心的現象としての言語 自己表現

表現としての言語は、心的な現象としてみれば、
ただ<概念>のこちら側にむかってのみ自己表現をとげようとする傾向にある。
それが外化されて話されるとか書かれるとかは第二次的なもの…

(『心的現象論序説』【Ⅴ心的現象としての発語および失語】P153)

心的にみられた自己表現としての言語、
いいかえれば<概念>を構成する方向に志向する心的な構造は、
対象に対する空間化度を知覚作用からかりることはありえないから、
ただ対自性そのものを空間化度に転化するほかない。したがって
<概念>の空間化度はまったく恣意的でありうるとかんがえられる。
(P153)


☆自己表現としての言語と、コミュニケーションとしての言語はまったく異なります。自己表現としての言語は、自己によって確定できればいいのであり、自己の中で完結するものです。このとき「外化されて話されるとか書かれる」というのは二次的なもの。一次的なものとしては自己が確定する概念の構成ができればいいのであり、その空間性は対自性によることが説明されています。

「対象に対する空間化度を知覚作用からかりることはありえない」というのは<夢>を参考にするとよくわかります。夢という入眠状態では知覚は作用しておらず、そこではすべての対象が対自性そのものの空間化度としてしか発現しません。観念の(運動の)一次対応としての自己言及性がここにあります。

2016年6月 3日 (金)

心的現象としての言語 表現と規範

言語はふたつの構成的な因子をもっているとかんがえることができる。
ひとつは表現としての言語、
もうひとつは規範としての言語である。

表現として言語をみれば、
話され書かれないかぎり言語は存在しない。

規範として言語をみることはまったくべつのことを意味する。
…民族語に固有の音韻、韻律、文法などが抽出できるような
共通性のうえにのみ存在し、…人間の発語自体にたいして
規範としての作用を発揮するようになる。

(『心的現象論序説』【Ⅴ心的現象としての発語および失語】P151)


…表現としての言語と規範としての言語は<逆立>しようとする志向性をもっている。(P152)


☆言語がまず<表現>と<規範>の2つの構成的な因子に分けられます。前者は文学の、後者は言語学の対象となるもの。言語といっても現実にはさまざまな条件による制約や定義があり、“言語そのもの”のようなものはどこにもありません。(この言語を制約する諸条件を捨象した考察としてはデリダのものが究極かもしりません)

言語というものは話されるか書かれるかしなければ存在しません。そして通常の言語であれば、ある民族語に属しており、特徴のある発音や文法によって表現されていることになります。この特定の共通性を規範として個人の発語そのものが規定されていることになにります。これが共同幻想を構成するベースとして社会的共同性(と吉本が呼ぶ)の基礎になるものでしょう。宗教や法はその上に作為されているものにすぎません。神を表現する言葉がない民族には神をいただく宗教はありません。

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