心的現象としての<イメージ>5 関係意識
非感性的な対象を感性的に受容しようとする志向性は非感性的な世界に対する不安による。(P246)
非感性的な対象を感性的に受容しようとする時に生じる差異は感性的な反応=応答の形で表出する。
この表出は知覚や記憶に基づくのではなく関係意識の矛盾による。
『心的現象論序説』「Ⅶ.心像論」「2.心像の位置づけ」を参考に…
☆現代の不安の根拠を共同性に関するあらゆる倫理の無さ…としたのが、共同幻想への最期の論考だったハイイメージ論でした。心的現象論序説の「Ⅶ心像論」「心の位置づけ」では「不安」は「非感性的な世界に対する」ものとされています。「非感性的な世界」というのは理性的(論理的・概念的)「世界」ということであり、思考によって認識され受容される世界です。ここには、感性的に受容する場合と非感性的に受容する場合のギャップがクローズアップされ、均衡を求める生命にとって、このギャップに対する自覚が不安です。<不安>は<不安を解消>しようとする作動を誘発します。それが生命というものだからです。<イメージ>というものは志向性そのものから生成し、知覚や記憶とは関係がないという指摘は認知心理学や神経生理学や哲学を超えて最重要なポイントになるでしょう。
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