「像としての文学」から9
「概念」に折り畳まれた生命の糸は、
たぶん存在が存在自体を反省したときの残像である〔純粋本質〕と、
存在がそのもの自体であるような〔具体的な存在物〕の像との、
主観内での統一から成り立っている…
(『ハイ・イメージ論Ⅰ』「像としての文学」P77ちくま学芸文庫)
■村上春樹の「蛍」の特徴として「「概念」がよびおこす…文体の〔意味〕にそった像(イメージ)」と「文体の〔意味〕からかけ離れた像(イメージ)」が二重になってうみだされ、さらに「「概念」とはまるでかかわりのないかにみえる像(イメージ)をよびおこす…」と分析され評されています。「グラフィカルにはぼんやりしているが、それに反比例するような多彩な像(イメージ)…」という指摘は共同幻想(ハイイメージ)や世界視線の特徴としても重要なポイントになります。
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