<イメージ>のはじまるところ
像は、人間が対象を知覚しているときには不可能な意識である…
言語の像をつくる力は、指示表出の強い言語ほどたしかである…
言語の像は、言語の指示表出と対応しており、
また自己表出を起動力とするなにかである…
像とは…対象的概念とも対象的知覚ともちがっている…
言語構造の指示表出と自己表出の交錯した縫目にうみだされる…
(『言語にとって美とはなにか Ⅰ』「第Ⅱ章 言語の属性」「3 文字・像」P97)
言語における像がなぜ可能となるか、を社会的な要因へまで
潜在的にくぐってゆけば、
意識に自己表出をうながした社会的幻想の関係と、
指示表出をうながした生産諸関係とが矛盾を来たした、
楽園喪失のさいしょまでかいくぐることができる。
(『言語にとって美とはなにか Ⅰ』「第Ⅱ章 言語の属性」「3 文字・像」P100)
■言語から像=イメージがどのように生成するかが考察される『言語にとって美とはなにか』の中核となるパート。ソシュールの『言語学原論』とサルトルの『存在と無』から<価値>を分析抽出しながら、マルクスをトリガーに吉本オリジナルの思索が展開されます。自己表出の動因である<価値>が導くものとしての像=イメージがクローズアップされます。サルトルの『想像力の問題』での知覚とイメージの排他的な関係への指摘を援用しながら、それとは逆に指示表出の強さがイメージを導くことが指摘されます。カントの『判断力批判』に古典的な意味での言語における像の概念を見出しながら、それへサルトルの指摘が構造をあたえたと分析しつつ、全世界史的なマルクスが援用されます。「楽園のさいしょ」をめぐる思索が『アフリカ的段階』であることはいうまでもありません。(*犬のイメージをつくる形態<犬>、概念<犬>)
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