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2014年1月

2014年1月23日 (木)

「多空間論」から4

普通のマンション・ビルや、住居ビルや、
商事ビルや、デパート・ビルを空間的な構築物とすれば、
超高層ビルは時間的な構築物なのだ…

わたしたちは高さを獲得すればするほど、
視野は拡大されるという原則だけで、俯瞰された空間を区切ることができ、
これが歴史の方向を指すといいきれるはずだ。
だがここでも、
高さや視野は人間の視覚の生理的な限界を折り目として、
反復されるもう一つの原則にしたがうことになる。

『ハイ・イメージ論Ⅰ』「多空間論」P135ちくま学芸文庫)

■超高層ビルやランドサットから得られる世界視線と、その限界が反復され臨界となることが示されています。ブレードランナーを援用した「映像都市論」での考察が都市そのものにおいて繰り返されています。

2014年1月22日 (水)

「多空間論」から3

この遠近と俯瞰の視線の想像上の復活と再生は、
とても重要な多空間処理の契機であり、絵画の空間処理は、ある意味では(つまり具象的であるかぎりは)
これ以上に高度な方法をもち得ないところまでいった。そういってもいい過ぎではない。
あとには抽象とモンタージュやコラージュの手法しか、多空間処理の方法はのこされていないからだ。

『ハイ・イメージ論Ⅰ』「多空間論」P141ちくま学芸文庫)

■想像力を具体化するものである絵画の方法が、その臨界とともにクールに定義?されています。経験したものしか想像できないという基本的な考察(心的現象論)からの評価でもあるでしょう。

2014年1月17日 (金)

「多空間論」から2

現代絵画のまったく想像力だけによる多空間の創造と、
現在の大都市の超高層からの俯瞰の視線があたえる
実在の多空間の想像空間への転化の契機とが、
どこかで交換される可能性…

わたしたちは現在たぶん新しい多空間を、
じっさい大都市のいたるところで認知する事態に当面している。
ただしそれを意識化できていない…

『ハイ・イメージ論Ⅰ』「多空間論」P146ちくま学芸文庫)

■都市は最高次元の人工物であり人間にとっての自然物でもある空間。これを可視化しようとする世界視線へ至る経路が、絵画の可能性として把握されています…

2014年1月14日 (火)

「多空間論」から

あえていえば、空間処理についての絵画的な技法は…
…要素的にその空間処理を分解すれば、
ひとつは俯瞰の視線の構図化と、
遠近感覚の自在な変幻という二つに帰着してしまう。

(『ハイ・イメージ論Ⅰ』「多空間論」P136ちくま学芸文庫)

ブレードランナーの映像などで説明された世界視線と、普遍視線の錯合する都市の景観。それらに想像力が媒介した絵画的な技法が明らかにされます。




           
ハイ・イメージ論〈1〉 (ちくま学芸文庫)

著:吉本 隆明
参考価格:¥1,365
価格:¥1,365

   

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