<思考>のはじまるところ
人間の認識力=思考(のベース)には基本的ないくつかの段階があります。
たとえばベイトソンの学習仮説によれば、それがゼロ学習・学習Ⅰ・学習Ⅱ・学習Ⅲ・学習Ⅳです。(ある意味でゼロ段階とⅣの段階は通常の学習?ではありませんが…。)
学習能力は階層的に生成され、それぞれの階層間の関係があり、上位の学習は必ず下位の学習を前提として成り立っています。このことから学習仮説はカスケード理論であるともいえます。心的現象論でいわれる異常や病的とされるものは、このカスケードの規定や機序の包含関係を破った現象だと考えることができるかもしれません。
ゼロ学習の典型例はフォン・ノイマンのゲーム理論におけるプレイヤー。
学習Ⅰは刺激と反応の常同反復的な関係性がポイント。
学習Ⅱは学習の過程も学習する自己言及性がポイント。
学習Ⅲは学習の志向性のコントロールや逆学習がポイント。
*『文脈病』(斎藤環)の「「コンテクストのオートポイエーシス」ベイトソン」や『心の起源』(木下清一郎)などを参考に。
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●ゼロ学習…ゼロ学習の典型例はフォン・ノイマンのゲーム理論におけるプレイヤー。
<刺激―反応>が単純な一対一の対応関係のままで、変化が起こらない状態。
記憶することがなく(予め刻印されている=負の記憶)学習がゼロ。反応は生得的な触発要因との照合だけ。
いわゆる本能といわれる段階であり、論理的には形式論理(だけ)の世界。
非常に安定していて発展もしない学習ゼロの状態。
「精神疾患の患者でもゲーム内では気が狂わないのはナゼか?」というラジカルな疑問を呈した精神科医がいましたが、その解にもなるのが以上のようなこと。ゼロ学習のレベル、形式論理の領域では世界観がブレないために認識機構が動揺することがないというのこと…がその理由と考えられます。
・ゲーム内で気が狂わない理由
・形式論理の世界
・生得的リリーサー
●学習Ⅰ…学習Ⅰは刺激と反応の常同反復的な関係性がポイント。
古典的パブロフ条件付け、道具的条件付けなど、慣れの形成過程、学習の消失、抑制過程なども含まれる状態。
感受期に触発要因が刷り込まれ変更不可能な場合と、反復によって学習され後から差し替え可能な場合がある。
・刷り込み?
・リリーサーが空白
・リリーサー
・記憶の可逆性
●学習Ⅱ…学習Ⅱは学習の過程も学習する自己言及性がポイント。
学習すること(学習のコンテクスト)を学習する自己言及性とともに、それは<入れ子>構造の状態でもある。
・記憶の幾何的増大
・リリーサーの増大
・自己コントロール
・原生的疎外
・純粋疎外
・記憶 刷り込み
・構成同一性
●学習Ⅲ…学習Ⅲは学習の志向性のコントロールや逆学習がポイント。
選択肢群がなすシステムそのものが修正される変化…学習と逆学習を通じて、学習Ⅱの起こり方を調節できる状態。
・忘却
・リリーサー
●学習Ⅳ…
進化のプロセスはこのレベルに踏み込んでいるかも知れない…
・獲得形質の遺伝
・観念の遺伝
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