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2017年7月31日 (月)

現在はナゼ不可視なのか?…ハイイメージ論

 共同幻想論の現在版であるハイイメージ論は、現在はナゼ不可視なのか?という問いからスタートします。

 「高度情報化」の社会像の像価値は・・・映像の内在的な像価値のように、一見すると究極の社会像が暗示される高度なものにみえない・・・それはわたしたちが、社会像はマクロ像で、個々の映像はミクロ像だという先入見をもっていて、わたしたちを安堵させているからだ。
 社会像の像価値もまたひとつの世界方向と、手段の線型の総和とに分解され、わたしたちの視座はひとりでに、世界方向のパラメーターのなかに無意識を包括されてしまう。そしてその部分だけ覚醒をさまたげられているのだ。

                 (『ハイ・イメージ論Ⅰ』「映像の終わりから」P31,32)

 情念によって作りだされた反動や意味づけは、
 倫理によって作りだされた絶えまない説教とおなじように、
 社会像の転換にはなにも寄与しない。

          (『ハイ・イメージ論Ⅰ』「映像の終わりから」P24)


 フランス最高の知性といわれ左翼政権の最高顧問として登場したジャック・アタリの著作『情報とエネルギーの人間科学―言葉と道具 (1983年)』。それを思わせ、そしてはるかにそれを超えるのがハイ・イメージ論Ⅰのスタートを切るこの30頁ほどの論考、「映像の終わりから」。すべては、現在が不可視であることを確認するところからはじまります…。

 産業構造の進展を時空間とその構造の差異の変容から説明しながら、わたしたちがいかにして不可視であるかを解いていく論考は、あの共同幻想論の現代版として思索されてきたもの…。「情念」や「倫理」を排したクールな思索と探究は情報理論なども踏まえて展開されています。

           
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 共同幻想論は人はなぜ、どうしてどのように共同幻想を見てしまうかが探究されていますが、このハイ・イメージ論では問いが逆転し、なぜ見えないのか?が問われていきます。不可視であることの理由…。安堵し覚醒をさまたげるものとの永続的な闘い…詩人であり思想家である吉本隆明のノンジャンル、ノンリミットの思索がハイイメージ論に溢れています。


 安堵し覚醒をさまたげられている現代人へ、遠野物語の序文の「之を語りて平地人を戦慄せしめよ」というアプローチがハイ・イメージ論が書かれた動機のひとつでもあることは間違いないでしょう。

 国内の山村にして遠野より更に物深きところには又無数の山神山人の伝説あるべし。
 願はくは之を語りて平地人を戦慄せしめよ。此書の如きは陣勝呉広のみ。

                          (『遠野物語』「序文」 柳田國男」)

           
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