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2012年1月16日 (月)

『一般意志2.0』…市場の要素としての<一般意志>?!

『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル 』…微分された共同幻想

 初期の村上春樹みたいな書き出しからスタートする本書、『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル』。そういえば著者は作家でもあったのだ。作家が連載ものを書くときに、あらかじめ数回分の文頭と文末を書いておく(理想的には全連載分を書いておく)ように、本書の各章の文頭と文末は(カッコよく)キマっている…。

 著者東浩紀の初論文?であるソルジェニーツインの研究(収容所=スターリン体制の研究で、それが統計的な計画であることの発見は著者に決定的な影響を与えた)で、そのロシア語能力は島田雅彦がほめるほど。そうした能力を活かし、本書はルソー社会契約論の翻訳が意訳を逸脱し原著の意味と全く異なっているのを発見したことからはじまっている。
 資本論のディーツ版の第一版にだけ記載されていた短い言葉の意味をめぐって柄谷行人の思索がはじまったように、著者もささいな意訳が決定的に意味を違え、大きな誤解を招いていることを発見してしまう。この意訳はバタフライ効果とも違って原著や著者をある意味で冒涜するものであるかもしれない。

           
一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

著:東 浩紀
参考価格:¥1,890
価格:¥1,890

   

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 すべての人間の人生を集めたら、それは歴史になるか?…もちろん、ならない。歴史は多くの人々が集まって作るけど、それを個々の人々には還元できない…歴史解釈のムズカシイところがここ。世界も同じで、すべての人の生活を集めたらそれは世界なのか?もちろん、そうじゃない。ヘーゲルはあいまいに精神だの意志だのを世界や歴史の源と考えたかもしれないけど、そんな観念論はいまや通用しない。ただ個人と世界の関係を媒介してるものは知ることができる。市場だ。 

 市場は個と全体の関係そのものだけではなく、そのバランスを調整しているとも考えられる。世界の特異点を均衡させているのは市場なのだ。あるいは均衡させようとする動きを市場と呼ぶ。

       -       -       -

 均衡は取り引き=交換という作動で生成する。取り引きの要素はプラスとマイナスに抽象できる。プラスとマイナスで相殺(取り引き)した結果が市場の結果だ。結果は2つに抽象できる。{+/-=<ゼロ>}の場合と{+/-=<余剰>}だ。結果が<ゼロ>というのはそのまま<均衡>したと考えられる。結果が<余剰>の場合は<+>か<->に偏っていることを意味する。

 問題はここ。この偏りは個別の相対取引であっても市場の全体であっても、ある種のトレンドを示している。これが政策を登場させる契機であり、政治が必要となる理由だ。この偏りを是正し均衡を取り戻すための方便が政治というものだからだ。この偏りやトレンドを計測計量し、均衡へ導いたり是正したりするために政策を立案し実行するのが政治という仕事だ。静態的には、基本的に政治の内容は均衡をもとめて偏りやトレンドを相殺するものとして発現する。

 そのために政治の大前提となるのは、まず基本としてトレンドの総量と属性をキチッと把握することだ。本書はこのトレンドの総量と属性を観測・計量することを目的としたスキームについての本だともいえる。<一般意志>とはトレンドの総量とその属性のことだからだ。

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 資本主義の市場では一方が<+>であれば他方は<->で、量的にはこの<+>と<->は等価だ。一方が凸した分だけ他方は凹むわけで、この部分が一般的には利益(利子)であり経済学的には剰余価値をベースとした何らかの価値の発現だと考えられる。

 結果が<ゼロ>である{+/-=<ゼロ>}の場合は、そのままで均衡していることになる。この積み重ねは本源的蓄積として市場をめぐる基礎(構造)を強化していく。表象としてはこれが<全体意志>のコアでありモノ化した部分といえるかもしれない。アルチュセールならば重層的決定の成果だ。現代思想が流行した頃の言葉でならば<構造>であり、それに対して<一般意志>は<ノイズ>といえる。重層的決定を全体意志とするならば、<一般意志>は吉本隆明のいう重層的非決定とオーバーラップするものだ。

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 翻訳が思考の主要で大切な能力である構成同一性を体現するように、著者はさまざまなタームを自由に行き来しながら思索を重ねている。領域も射程も広く深い思索を読みやすいエッセイ風に仕上げたのが本書なのだ。

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 ググるとノージックについてクールに書き留め『一般意志2.0』について述べているコラムを発見。リバタリアニズムの文脈で『一般意志2.0』を捉えたスタンスは明確で事態を俯瞰させてくれます。橘玲氏の公式サイト「Stairway to Heaven」はある意味で自己確認することができ、なぜ日本で思想が無化されるか…についても考えさせてくれます。

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 本書『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル 』はルソーの<一般意志>に触発された本。でも東浩紀さんの主張する<一般意志2.0>を担保するものはルソーでは [続きを読む]

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