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« エピソードな原点『幼年論 21世紀の対幻想について』 | トップページ | <対象a>は剰余価値から―『生き延びるためのラカン』 »

2009年4月 8日 (水)

人間のすべてが語られる『超恋愛論』

 『ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ 』に続く思想や理論ではない軽い談話のような本。しかし、ここにはどのハードな吉本本にもなかった問題がクローズアップされています。個人幻想からひきこもり、そして淡い恋から情熱的な人間関係、約束、掟、法律と国家や宗教の関係、家庭内暴力、三角関係、そして表現-指示表出までが展開する吉本ワールドがそこにあります。

 いままで<対幻想>を根底においてきた吉本さんが、ここでは<三角関係>を取り上げて、社会が成立した以降の三角関係ならではの観念の動きについて考察しています。恋愛からファシズムまで、そしていまだナゾの心の動き…。日常的な言葉で、しかし吉本理論の臨界ともいうべき困難な問題を、どのように困難かが語られています。

 対幻想の究極と三角関係の不思議を考察しながら、そこに恋愛の極限と日本の後進性を見出しています。

 対幻想(家族関係)から観念が遠隔化していく階程を解き明かしたのが吉本理論のメインでした。この観念の遠隔化を遡行した時に、どこまで遡行可能なのか?というのは一つの大きな問題ですが、フロイトを援用する形では<エス(→自我)>がひとつのゴールだと考えられます。『心的現象論序説』に示されているように自己が自己を対象化した時点で〝幻想対〟といえるからです。
 エスから生成・離脱しようとする主体化志向の動きと、その動きの作用によって必然的に形成される反作用としてのエス化志向(非主体化)?の動き、この2つのベクトルがあるワケです。<主体を確立しようとするコト><エスへ戻ろうとするコト>ですね。

 三角関係の考察で異性愛に同性愛(友情)が拮抗してしまった、あるいは超えてしまったことにフォーカスした鋭い考察がなされます。異性(愛)に拮抗するものが多種多様に存在するのが現在であり、それは<n個の性>として、あるいは「多重見当識」『戦闘美少女の精神分析 』(ちくま文庫)斎藤環)としてもあるでしょう。

 <恋愛>と<結婚>の違いも、日本におけるその歴史から考察されています。<恋愛>は対幻想の世界ですが、<結婚>はそれを<共同幻想>から認知されなければいけないという点が大きく構造が違います。また共同幻想は第三者でもあり、それを回避しようとする心性は近代日本の特徴でもあるという指摘がされます。

 吉本は1人の男性が友人にも女性にも気持ちを<話せない>で内向していくのが三角関係のベースにあると分析します。問題はその男性が気持ちを話せないことです。するとこの問題は<ひきこもり>や誰もが通過するであろう孤独の焦燥と同質であることがわかります。

 「ぼくが恋愛論の本を出すなんて、初めてのことです」ということですが、結局、人間の原理のすべてに関して書かれています。思想や哲学といった専門用語の羅列とは違ったフィールドで、どの思想や哲学よりも人間の根本を語ってしまっている著者がここにいます。〝人間の人間に対する関係の全てが男の女に対する関係の中にある〟という若きマルクスと同じ認識がここにあります。(彼女のために決闘してこめかみに傷を負ったマルクスの武勇伝は、どこか吉本さんに通じるものがありますね…)

 個別的現存でしかない個人が人類となる契機を一対の男女に見出したマルクス『経済学・哲学草稿』の提起した問題は共同(幻想)化という展開を経て現実を規定していきます。吉本理論がその解のキーであることは読者が確認することでしょう。

           
超恋愛論

著:吉本 隆明
参考価格:¥ 1,470
価格:¥ 1,470

   

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