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2009年3月17日 (火)

概観とオリジンな『心とは何か 心的現象論入門』

自信のあらわれとしての『詩人・評論家・作家のための言語論』

 講演をまとめたものであり『心的現象論序説』『心的現象論本論』 の中間に位置するような内容になっています。収録されている8回の講演で心的現象(論)を中心とした吉本理論の全体像がほぼ網羅され把握することができ、ページ構成も人間の発達史に沿った展開でそれぞれ豊富な具体例を示しながら進められています。

 Ⅰ章では発達史の中で〝一人では生きていけない乳児期〟と〝二次性徴を抑圧する前思春期〟から人間だけに特有な過程をフォーカスするところからはじまります。この時の人間に特有の過程がその後の心的現象のすべてを左右するものだからです。そこから言語以前の表出からいわゆる〝言葉〟までが考察され、それが対応する環界との関係も示唆されます。ここまでで初期三部作の内容が凝縮され、さらにはここですでにアフリカ的段階ハイイメージ論のコアな部分が明らかにされてきているともいえます。

 またⅠ章の「異常の分散 母の物語」などは他では示されていないような心的現象を個体として包含する<物語>がどのように形成されるかが心的現象(論)に基づいて解説されています。死という最大のストレスと向き合ったときの人間のレスポンスをキューブラー・ロスの膨大な臨床データから抽出し、人間の心的現象の祖型的なものをクローズアップします。それが感情を媒介係数としてどのような認識を生じさせるのかを発達心理学的な過程における錯合から明らかにし、<概念>や<規範>との統御のバランスの結果として<病的>や<異常>が生じる機序を明かしていきます。

 心的現象からみた吉本理論の全体像が概観でき、しかも重要な面でオリジンなところがある一冊といえます。

           
心とは何か―心的現象論入門

著:吉本 隆明
参考価格:¥ 1,733
価格:¥ 1,733

   

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吉本さんをはじめとして多方面に博学強覧なfinalvent氏の極東ブログ。その「[書評]心とは何か(吉本隆明)」にとても参考になるコメントがあります。三木解剖学を踏まえたうえで自他関係の根底にある免疫システムについて取り入れた考察です。

 結局、心とはなにか? 私のがさつな言葉でパラフレーズするのだが、心というものは、脳神経システムと肺という呼吸器システムの相克で生じるものだと理解したい。そして、この相克こそが、私が彼らの思想から私が受け取った部分なのだが、人の心に決定的なダイナミズムを与えている。
 彼らの思想にはないのだが、これに免疫のシステムが関与したとき、人の身心の病的な領域が、人の進化の必然とその途上性の可能性を示すものとして、現れるのだろうと思う。

                       極東ブログの「[書評]心とは何か(吉本隆明)」から

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(2010.10.16追加)

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