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2009年2月20日 (金)

ベーシックな『序説』 その4

 『心的現象論序説』のⅥ章「心的現象としての夢」では<入眠>時の心的な現象である<夢>が考察されますが、それは世界にまったく比類のないオリジナルな理論になっています。
 夢に関してはたいていフロイトによる夢判断のように夢に出てきた形象で夢の意味を問うものや、夢の内容を現実の(心理の)隠喩や換喩として捉えれるものが大部分です。それ以外はないといってもいいかもしれません。しかし、吉本理論における<夢>への考察はまったく違います。変幻自在で不定形でもあるような<夢>を厳密な認識の時空間構造として把握しています。そこでは<原関係><固有関係><一般関係>や<原了解>などの基礎概念が幻想論と対応しながら展開されています。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『心的現象論序説』(改訂新版・1982年・角川文庫版)

 Ⅰ 心的世界の叙述
 Ⅱ 心的世界をどうとらえるか
 Ⅲ 心的世界の動態化
 Ⅳ 心的現象としての感情
 Ⅴ 心的現象としての発語および失語
 Ⅵ 心的現象としての夢
 Ⅶ 心像論

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【Ⅵ心的現象としての夢】

P188
夢が形像のかたちでやってきても(上限夢)、
非形像のかたちでやってきても(下限夢)、
あらわれる夢表現に対して<入眠>時の心的な領域は
一義的な対応をもたない…

なぜならば、
対象が<身体>の外部に実在しないことから、
心的な受容の空間化度は、
それぞれの感官に固有な水準と境界をもちえないで、
無定形な空間化度にすぎなくなる…

P189
夢の形像は、ある時にある場面で実際にみた形像とは
まったく関係がない…
記憶残像が再現されるのでもない。

夢の形像は、眠りによって条件づけられた
心的な受容の空間化度が消失し、
心的な了解の時間化度が変容することから
直接に必然的にやってきたものである。
つまり、意識が対象を受容し了解するという構造を
もちえないところから、
必然的に与えられたものが夢の形像であって、
いかなる意味でも視覚像ではありえない。


 ある意味でこのⅥ章がいちばん吉本理論の典型であり、また吉本理論が解りやすいかもしれません。夢は〝対象が<身体>の外部に実在しない〟から〝無定形な空間化度にすぎなくなる〟というシンプルでストレートな定義からはじまります。

意識が対象を受容し了解するという構造をもちえないところから、必然的に与えられたものが夢の形像〟であるという説明は序説における認識論をすべて語っているようなおもむきがあります。

 〝対象〟を〝受容〟し〝了解〟するのが基本的な認識の〝構造〟で、そのすべての段階に<時空間構造>があり、そして認識の順番と過程そのものにも時空間構造がある…というのが『心的現象論序説』で示されてきたことそのものです。それが感官(感覚器官)が対象を認識する構造です。感官は常にこの構造において環界を認識しています。
 ところが夢では〝対象が<身体>の外部に実在しない〟つまり感官が受容する対象というものが存在しません。感官が機能する段階である環界との接触がないわけです。夢では感官レベルでの認識はないことになります。夢はいきなり〝了解する〟ところ(対象外・意識外のもの)からはじまるわけです。
 了解のレベルには了解の時空間構造があります。夢では(感官の)対象がなく対象のレベルの時空間構造がないために、この了解の時空間構造がその代わりになります。それが<夢>の属性です。〝無定形な空間化度〟による〝形象〟になるわけです。

 

 夢の形象が〝対象〟ではなく了解の時空間構造そのものによるということは、夢という認識は認識の再帰性(自己言及性)に負うものであることがわかります。
 そのために〝いかなる意味でも視覚像ではありえない〟のであり、よくある夢への解釈や想像や直観、イメージというものへのアバウトが見解が、ほとんどすべて無効であることがわかります。吉本理論のすさまじい破壊力がここにあります。

 いきなり共同幻想との関係でいえば、共同幻想が自己言及できない部分をカバーする(タネにする)認識だとすると、夢は自己言及そのものである、といえるかもしれません。

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