リソースを超える?運動
『心の起源』=マテリアルを超えようとする能力?
マテリアルな規定を受けないモノゴトなんてこの世には無いですが、そのマテリアルな根源にある時空間性を原初のリソースとして生を授かったこの世の生きとして生けるものは、あるとってもスゴイ必然とその後の努力によって、時空間を超えようとする能力を発展させてきました。マテリアルな限界を超えようとする能力です。
それが時空を超える能力であるかのように思える観念ですね。つまり、心。もちろん、どんな心の作用=心的現象もそれ自体でマテリアルな限界を超えたり、TPOの規定を避けることはできません。でも、記録することによって情報を時間や空間の制約を超えて伝えることはできるし、観念の自由度はほとんど全てのことを可能にさせてくれる可能性があります。
その心は、物質に対して情報を記録するコト=分子結合=遺伝子からできた情報が原点だという当り前にしてクールな思索による内容が、この『心の起源』(木下清一郎)です。
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『心の起源』(木下清一郎・中央公論新社)
著者は発生生物学者だが本書の内容は遺伝子から数学的公理の解釈まで含み、それらをフルに活用して生物が形成する集団社会まで論じながら、心というものに迫っていく。記憶が心の起源であることを示すとともに生物が自己複製反応を繰り返しながら進化することを論証する。それゆえの自己言及から必然的に生じる矛盾。著者はその生命の不安定さに<入れ子>世界を想定することで秩序の確保とさらなる進化を仮定し期待している。
実をいうとこの部分は言語学や哲学、思想といったものがポストモダン以降閉塞している状況をブレイクスルーする理論そのものとして援用できる可能性がある(逆説的にいえば他にはない)。生命現象に即した科学書であるとともに、デッドロックでフラットなザマをさらしている人文科学に新しい可能性を与えてくれる書でもある。
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心の起源―生物学からの挑戦 (中公新書)
著:木下 清一郎
参考価格:¥777 価格:¥777 |
(2003/12/25)
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心の発生の基礎を記憶に求めることができます。遺伝子の自己複製が記憶の原型とされ、 [続きを読む]
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